「実家を売りたいけれど、鉄筋コンクリートだと解体費用が木造の何倍になるの?」——そんな疑問を持つ方は少なくありません。
結論から言うと、RC造(鉄筋コンクリート造)の解体費用は木造の1.5〜2倍以上になるケースが多く、30坪でも200万円を超えることがあります。その理由は「重機の規模」「廃棄物の量」「工期」の三つにほぼ集約されます。このページではその違いを具体的な数字と工程で整理します。なぜ同じ広さでも構造で費用がこれほど変わるのかは、次の比較表を見ると一目瞭然です。
構造別 解体費用の目安比較
まず木造から SRC 造まで、坪単価と総額を並べて確認しておきましょう。
| 構造 | 坪単価の目安 | 30坪の総額目安 | 50坪の総額目安 | 費用が変わる主な理由 |
|---|---|---|---|---|
| 木造(W造) | 3〜5万円 | 90〜150万円 | 150〜250万円 | 解体しやすく廃棄物が軽い |
| 軽量鉄骨造(S造) | 4〜6万円 | 120〜180万円 | 200〜300万円 | 鉄骨切断が必要。金属くずはスクラップ処分 |
| 重量鉄骨造(S造) | 5〜8万円 | 150〜240万円 | 250〜400万円 | 大型重機と専用カッターが必要 |
| RC造(鉄筋コンクリート) | 6〜10万円 | 180〜300万円 | 300〜500万円 | 廃棄物が最も多く工期も長い |
| SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート) | 8〜12万円 | 240〜360万円 | 400〜600万円 | 難易度が最も高く大規模建物に多い |
これらはあくまでも目安です。実際の費用は立地・形状・アスベストの有無などによって大きく変わります。費用を左右する要因については 解体費用が高くなる5つの要因 でも詳しく解説しています。
鉄骨造(S造)の解体費用と特徴
軽量鉄骨造(プレハブ・アパートなど)
プレハブ住宅・アパート・小規模事務所に多い構造です。使われる鉄骨は厚さ2〜3mmほどで、木造と同程度の重機で対応できるケースも多く、鉄骨造の中では比較的解体しやすい部類に入ります。
坪単価の目安は4〜6万円ほどです。発生した金属くずを鉄スクラップとして売却できる場合があり、廃棄物処分費の一部が差し引かれることもあります。ただし相場は時期によって変動しますので、事前に業者へ確認しておくと安心です。
重量鉄骨造(商業施設・工場・マンションなど)
厚さ6mm以上の太い鉄骨を使った構造で、大型商業施設・工場・マンションに多く見られます。鉄骨を切断するにはガス溶断機やプラズマカッターなどの専用機材が必要で、その分の費用が上乗せされます。
坪単価の目安は5〜8万円ほどですが、建物の規模・階数・立地条件によって幅が大きくなります。工場・倉庫の解体では地中に埋設された特殊設備の撤去が加わるケースもあるため、必ず現地調査を経た見積もりを取得してください。
次に、費用が最も高くなりやすいRC造の内訳を見ていきましょう。
RC造(鉄筋コンクリート造)の解体費用が高い理由
RC造はコンクリートと鉄筋を組み合わせた非常に頑丈な構造です。マンション・ビル・公共施設に多く使われ、解体の難易度と費用がいずれも最も高い構造といえます。
費用が上がる主な4つの理由
- 廃棄物の量が木造の4〜5倍:コンクリートは木材よりはるかに重く、運搬・処分費がそのまま積み上がります
- 大型重機が必要:コンクリートを砕くには大型圧砕機(コンクリートブレーカー)が欠かせません
- 工期が木造の2〜4倍:職人の人件費・仮設費用もその分かかります
- 振動・騒音対策のコスト:密集地ではコンクリート破砕の振動が周辺に影響しやすく、低振動工法への対応が必要なケースがあります
RC造 30坪の費用内訳イメージ
- 仮設工事費:15〜20万円程度
- 解体工事費(本体):80〜120万円程度
- 廃棄物運搬・処分費:60〜100万円程度
- 整地費:10〜20万円程度
- 諸費用・管理費:10〜20万円程度
この内訳はあくまでも参考値です。費用全体の詳しい見方は 解体工事の費用内訳【完全版】 をご覧ください。
木造との違いを3つの軸で整理すると
「木造との違いはわかったけれど、具体的にどの部分にお金がかかるの?」という疑問が残りやすいポイントを三つの軸で整理します。
- 解体難易度の順番:木造 < 軽量S造 < 重量S造 < RC造 < SRC造。難易度が上がるほど専門技術と重機のグレードが必要になります
- 廃棄物の量と重量:RC造のコンクリートは木材の4〜5倍の重量があります。運搬回数が増えるほど処分費も増えます
- 工期の目安:木造(1〜2週間)< S造(2〜4週間)< RC造(3〜8週間)。工期が長くなれば仮設費用・近隣対策費も比例して増えます
RC造の解体では特に近隣への振動・騒音対策が重要です。業者の選び方や近隣対応のコツは 近隣への挨拶・補償|解体工事の苦情対策と事前対応 もあわせて参考にしてください。
分譲マンション(RC造)の解体は個人の判断でできない
RC造の区分所有マンション(分譲マンション)を解体するには、区分所有者全員の合意(特別決議)が必要です。区分所有法の規定によるもので、個人の判断だけでは解体に着手できない点が戸建てとの大きな違いです。
老朽化したマンションの建て替えや解体を検討される場合は、管理組合・弁護士・不動産専門家に早めに相談されることをおすすめします。
S造・RC造の解体で発生しやすい追加費用
「見積もりより高くなった」というトラブルが起きやすいのが、S造・RC造の解体です。あらかじめ次の項目を確認しておくと、想定外の追加費用を防ぎやすくなります。
- 3階以上の高層部分:大型クレーンや高所作業機材が必要になり費用が増加します
- アスベスト(耐火被覆材)の除去:鉄骨造の耐火被覆に石綿が含まれているケースがあります。2022年から原則すべての解体・改修でアスベスト事前調査と報告が義務付けられており、除去費用は別途発生します。詳しくは アスベスト除去費用|事前調査の義務と費用相場 をご覧ください
- 支持杭の撤去:RC造・大型S造では支持杭が打たれていることが多く、撤去費が数百万円になるケースもあります
- クレーン使用費:大型の鉄骨部材を吊り降ろす際にクレーンが必要になることがあります
建物の構造が分からない場合の確認方法
「自分の建物が木造なのか鉄骨造なのか分からない」という場合は、以下の方法で確認できます。
- 建築確認申請書・設計図書:建物を建てた際の図書に構造が記載されています。紛失している場合は建築会社や設計事務所への問い合わせも選択肢のひとつです
- 登記事項証明書(建物):法務局で取得でき、「鉄骨造2階建」などの形式で構造が記載されています
- 固定資産税の課税明細書:毎年届く書類に「構造」の欄があります
- 業者の現地調査:外観・基礎・壁の工法を専門家が確認します。不明な場合は現地調査を依頼するのが最も確実です
S造・RC造解体の主な工程と使用重機
木造と比べてS造・RC造の解体は、工程数と必要な重機のグレードがいずれも上がります。工程を知っておくと工期の見通しも立てやすくなります。
鉄骨造(S造)解体の流れ
- 仮設工事(足場・防音パネル・養生)
- 内装解体・分別(ボード・断熱材・設備機器など)
- 鉄骨切断(ガス溶断・プラズマカッターで柱・梁を切断)
- 部材の搬出・スクラップ処理
- 基礎解体・廃棄物搬出
- 整地
RC造解体の流れ
- 仮設工事(規模が大きいほど養生費も増加)
- 内装・設備解体・分別
- コンクリート圧砕(大型圧砕機で上階から順に解体)
- 鉄筋の切断・分別(スクラップとして売却できる場合があります)
- 廃コンクリートの積み出し・処分
- 基礎解体・整地
RC造1棟の廃棄物量は非常に多くなります。コンクリートは木材の約4〜5倍の重量があるため、廃棄物処分費が大幅に増加する点をあらかじめ頭に入れておいてください。
解体全体の手続きの流れ(届出・近隣挨拶・着工)については 解体工事の流れ|申込みから完了までの8ステップ をご参照ください。
コストを抑えるための3つのポイント
S造・RC造の解体は構造上、費用を大幅に圧縮するのが難しい面もあります。ただし、業者選びと交渉次第で数十万円単位の差が出ることもあります。
- 鉄スクラップの売却益を確認する:鉄骨・鉄筋の廃材には一定の市場価値があります。見積もり時に「鉄くず売却益はどう扱いますか?」と確認してみましょう
- 廃コンクリートのリサイクル体制を聞く:廃コンクリートを再生砕石として利用できる業者は、処分費を抑えられることがあります
- 複数社から相見積もりを取る:構造が複雑なほど業者ごとの見積もり差が大きくなる傾向があります。相見積もりの取り方は 解体業者の見積もり比較|相見積もりで30%安くする方法 で詳しく解説しています
S造・RC造の解体は業者の専門性と保有重機によって仕上がりや工期が変わりやすいジャンルです。業者選びの全体的な基準は 解体業者の選び方|失敗しない8つのチェックポイント もあわせてご確認ください。費用が業者によって数十万円以上変わるケースも珍しくないため、複数の業者から無料で相見積もりを取って比較されることをおすすめします。
業者選定時に追加で確認しておきたいポイント
木造と比べてS造・RC造の解体は専門性が高く、確認すべき事項も増えます。以下のポイントを見積もりの段階で質問しておくと、業者の対応力を見極めやすくなります。
- S造・RC造の解体実績件数:経験が多い業者ほど施工品質が安定する傾向があります
- 保有重機の種類と規模:RC造の圧砕には大型の圧砕機が必要です。自社保有かレンタルかでコストとスケジュールが変わります
- アスベスト除去への対応力:鉄骨造の耐火被覆に石綿が含まれているケースがあり、高度な除去技術が必要です。事前調査と報告は法的に義務付けられています
- 廃コンクリートのリサイクル体制:再生砕石として活用できる業者は処分費を抑えられる場合があります
- 低振動・低騒音工法の採用可否:密集地でのRC造解体では近隣への影響が大きくなりやすく、専用工法への対応可否を確認しておきましょう
補助金・助成金を活用できる可能性もあります。空き家の除却補助金については 解体工事で使える補助金・助成金 をご覧ください。解体に関する届出や手続きの全体像は 家の解体に必要な手続き|届出・許可・近隣挨拶まで完全ガイド にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q. 同じRC造でも費用に大きな差が出ることはありますか?
はい、出ます。階数・形状・立地・設備の複雑さによって費用は大きく変わります。特に5階以上の高層建物は大型クレーンが必要になり費用が上がります。屋上に設置された特殊設備(エアコン室外機・太陽光パネル・給水タンクなど)の撤去費が別途発生することもあります。RC造の解体では必ず現地調査を経た上で見積もりを取得してください。
Q. 鉄骨造の解体で鉄くずの売却益は得られますか?
業者によっては鉄骨材の売却益を費用から差し引いてくれるケースがあります。見積もりの際に「鉄くず売却益の扱い」を確認することをおすすめします。ただし、スクラップ相場は時期によって変動するため、金額はあくまでも目安としてお考えください。
Q. RC造解体で業者を選ぶ際に特に注意することはありますか?
RC造の解体は専門性が高く、経験のある業者に依頼することが大切です。「RC造の解体実績件数」「使用する重機の種類」「廃棄物の処分方法」を複数社で比べることをおすすめします。また、業者が「解体工事業登録」または「建設業許可(とび・土工工事業)」を取得しているかどうかを確認することも重要です。無登録業者への依頼は法律上問題があるため注意してください。
Q. 工場・倉庫(重量鉄骨造)の解体費はどう見積もればよいですか?
工場・倉庫は建物の規模が大きく、クレーンや特殊設備の撤去が伴うことがあります。床面積だけでなく、設備の撤去費・基礎の規模・地中埋設物の有無なども考慮した上で、大型解体に実績のある業者に相談することをおすすめします。なお、床面積80㎡以上の解体は建設リサイクル法により着工7日前までに都道府県への届出が施主に義務付けられています。
Q. RC造の近隣トラブルはどう防げますか?
コンクリートの破砕は振動・騒音が大きくなりやすいため、事前の近隣挨拶が特に重要です。低振動・低騒音工法(静的破砕剤の使用・圧砕機の改良など)に対応している業者であれば、密集地でも適切に施工できます。見積もりの際に「低振動工法に対応できますか?」と確認しておくと安心です。近隣対応の詳しい進め方は 解体工事で揺れる・うるさい問題|近隣苦情を防ぐ事前対策 をご参照ください。
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