「解体工事って、何から始めればいいんだろう」——そう思ったまま、なかなか動き出せていない方は少なくありません。
申込みから工事完了まで、一般的な木造住宅で1〜2ヶ月かかります。ただし手続きの準備が遅れると、それ以上に伸びることもあります。どの工程で何日かかるのかを先に把握しておくと、スケジュールが立てやすくなります。
この記事では、申込みから滅失登記まで全8ステップを順番に解説します。各工程の所要日数の目安も示しますので、解体後の建替えや売却のタイミングを逆算する際にお役立てください。
手続き全般の詳細(届出書類・近隣挨拶の方法・必要書類一覧)は 解体工事に必要な手続き完全ガイド にまとめています。業者の選び方は 解体業者の選び方 をご覧ください。
解体工事の全体スケジュール(目安)
工程全体をひと目で把握できるよう、まず一覧でお示しします。
| 工程 | 所要期間の目安 |
|---|---|
| ① 現地調査・見積もり | 1〜2週間 |
| ② 業者選定・契約 | 1〜2週間 |
| ③ 近隣への挨拶まわり | 工事開始の1〜2週間前 |
| ④ ライフライン停止手続き | 工事開始前(各社に要確認) |
| ⑤ 建設リサイクル法届出 | 着工の7日前までに提出 |
| ⑥ 足場・養生の設置 | 1〜2日 |
| ⑦ 解体工事・廃棄物搬出 | 木造30坪で5〜10日程度 |
| ⑧ 整地・滅失登記 | 整地1〜3日、登記は解体後1ヶ月以内 |
以下、各工程を順番に説明します。
① 現地調査・見積もり(1〜2週間)
まず業者が現地を訪問し、建物の構造・面積・周辺環境・アスベストの可能性などを確認します。この情報をもとに見積書が作成されます。
見積もりは1社だけでなく、複数社から取ることをおすすめします。解体費用は業者によって数十万円の差が出ることも珍しくありません。また、見積書の内訳を比較することで、費用に何が含まれているかも把握しやすくなります。
相見積もりの比較ポイントは 解体業者の見積もり比較|相見積もりで30%安くする方法 でまとめていますので、あわせてご参照ください。
なお、2022年以降は解体・改修のいずれでもアスベスト(石綿)の事前調査が義務となっています。旧耐震基準(1981年以前)の建物では特に注意が必要です。調査の結果、アスベストが検出された場合は除去費用が別途発生します。詳しくは アスベスト除去費用|事前調査の義務と費用相場 をご覧ください。
② 業者選定・契約(1〜2週間)
見積もりを比較したうえで業者を選定し、契約を締結します。金額の安さだけで判断すると、後からトラブルになるケースがあります。
確認すべき点は「解体工事業の登録、または建設業許可(とび・土工工事業)を持っているか」です。この資格を持たない業者への発注は法律上禁じられています。また、廃棄物の適正処理を証明する産業廃棄物マニフェスト(管理票)を発行するかどうかも確認しましょう。
業者選びの詳しいチェックポイントは 解体業者の選び方|失敗しない8つのチェックポイント にまとめています。
費用が高くなりやすい条件(旗竿地・重機が入れない立地など)は 解体費用が高くなる5つの要因 で解説しています。
③ 近隣への挨拶まわり(工事開始の1〜2週間前)
契約後、工事が始まる前に近隣住民へのご挨拶をします。一般的には施主と業者が同行して、工事の期間・作業時間・連絡先を伝えます。
解体工事は振動・騒音・粉じんが避けられません。事前に丁寧に説明しておくと、苦情になりにくくなります。範囲の目安は隣接する建物と道路を挟んだ向かいを含め、少なくとも4〜5軒が目安とされています。
挨拶の具体的な進め方は 近隣への挨拶・補償|解体工事の苦情対策と事前対応 で詳しく説明しています。
④ ライフライン停止手続き(工事開始前)
解体前に電気・ガス・水道・電話といったライフラインを停止・撤去する手続きが必要です。各社への連絡は工事開始の2〜4週間前を目安に行うと安心です。
なかでもガスの閉栓と配管撤去はガス会社のスケジュールに依存するため、早めに連絡しておくことをおすすめします。電気は電力会社への申請のほか、メーターの撤去が必要なケースもあります。
各手続きに必要な書類や連絡先は 解体工事に必要な手続き完全ガイド に一覧をまとめています。
⑤ 建設リサイクル法の届出(着工7日前までに)
床面積の合計が80㎡以上の建物を解体する場合、工事着工の7日前までに都道府県知事(または委任を受けた市区町村)へ届出を行う義務があります。これは「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」に基づく手続きです。
届出は施主(発注者)の義務ですが、実際には業者が代理申請することが一般的です。業者に代行してもらう場合も、書類に署名・捺印が必要なケースがあるため、事前に確認しておきましょう。
届出が完了していないまま着工すると法律違反になりますので、業者と工程を確認する際に届出のタイミングも合わせて確認してください。
⑥ 足場・養生の設置(1〜2日)
いよいよ現場作業が始まります。最初に仮設足場と養生シートを設置します。養生シートは粉じんや騒音を近隣に広げにくくするために欠かせません。
振動や騒音が気になる方は、工事前に業者へ作業時間帯を確認しておくと安心です。一般的には早朝や夜間の作業は避け、平日の日中に限定することが多いです。
解体工事中に起こりやすいトラブルについては 解体工事で揺れる・うるさい問題|近隣苦情を防ぐ事前対策 で解説しています。
⑦ 解体工事・廃棄物搬出(木造30坪で5〜10日程度)
建物を取り壊しながら、コンクリート・木材・金属・ガラスなどを分別して搬出します。建設リサイクル法では、こうした廃材を種類別に分別してリサイクルすることが義務付けられています。
工期の目安は建物の構造・広さ・立地によって異なります。
- 木造(30坪前後):5〜10日程度
- 鉄骨造・RC(鉄筋コンクリート)造:規模にもよりますが、木造より長くなる傾向があります
鉄骨・RC造の費用と期間の違いは 鉄骨・RC造の解体費用|木造との違いと相場の差 で詳しく解説しています。
廃棄物の処分には産業廃棄物マニフェストが発行されます。後日、マニフェストのコピーを受け取って保管しておきましょう。不法投棄があった場合、施主も責任を問われるケースがあります。
⑧ 整地・滅失登記(整地1〜3日、登記は解体後1ヶ月以内)
解体が完了したら、土地を平らに整える「整地」を行います。整地の方法(砕石敷き・転圧など)は目的や費用に応じて業者と相談しましょう。
整地が終わったら、建物の滅失登記が必要です。建物が取り壊された事実を法務局に登記することで、固定資産税の建物分が翌年から課税されなくなります。
滅失登記の申請期限は、解体完了から1ヶ月以内です(不動産登記法第57条)。期限を過ぎると過料の対象になることがあるため、工事完了後すみやかに手続きしましょう。土地家屋調査士や司法書士に依頼することも可能です。
空き家の解体後に固定資産税がどう変わるかは 空き家の解体|放置リスクと固定資産税の関係 で詳しく解説しています。建替え計画がある場合のスケジュール調整は 建替え時の解体|新築計画とのスケジュール調整 もご参照ください。
スムーズに進めるための3つのポイント
解体工事でよくある「思ったより時間がかかった」「費用が後から増えた」というケースには、共通した原因があります。
1. 複数社への見積もりを同時進行で依頼する
1社ずつ順番に依頼すると、それだけで数週間かかります。複数社に同時に依頼することで比較検討の時間が確保できます。
2. ライフライン停止の連絡を早めにする
特にガスの閉栓は予約が必要なことが多く、希望日に間に合わないケースがあります。契約後すぐに連絡するのが安心です。
3. 手続き書類の準備を並行して進める
建設リサイクル法の届出書類や、滅失登記に必要な書類は早めに準備を始めておきましょう。業者に確認すると、必要書類リストを提供してもらえることが多いです。
解体費用は業者によって大きな差が出ます。追加費用の発生リスクや廃棄物処理の方法を含めて比較するには、複数業者からの相見積もりが結局のところ最も安心な方法です。
よくある質問
- Q. 解体工事は申込みから完了まで何ヶ月かかりますか?
- A. 一般的な木造住宅で1〜2ヶ月が目安です。手続きの準備期間や業者の繁忙期によって前後します。余裕を持って3ヶ月前から動き始めると安心です。
- Q. 建設リサイクル法の届出は誰がしますか?
- A. 届出義務は施主(発注者)にあります。ただし多くの場合、業者が代理で申請します。代理申請の場合も書類への署名が必要なことがありますので、事前に業者へ確認してください。
- Q. 滅失登記を忘れるとどうなりますか?
- A. 解体後1ヶ月以内に申請しないと、法律上は過料の対象になる可能性があります。また、建物が存在しないにもかかわらず固定資産税が課税され続けるリスクもあるため、早めの手続きをおすすめします。
- Q. 解体工事に補助金は使えますか?
- A. 空き家の除却を対象とした自治体の補助金が利用できるケースがあります。詳しくは 解体工事で使える補助金・助成金 をご覧ください。
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