「自分で外壁を塗ればコストが浮くのでは」——そう考えて検索されている方は少なくないはずです。ホームセンターに塗料は並んでいますし、動画サイトを見れば施工の手順も分かります。ただ、結論から申し上げると、2階以上の外壁全面塗装をDIYで行うことは、費用・安全性・品質のどの面でも専門業者に依頼するより不利になるケースがほとんどです。なぜそうなるのか、順を追って説明します。
外壁塗装DIYで「できる範囲」と「難しい範囲」
DIYが不可能というわけではありません。まず、作業の全体像を整理しておきましょう。外壁塗装の工程は大きく5段階です。
- 高圧洗浄(汚れ・旧塗膜の除去)
- 下地補修(ひび割れ・シーリングの打ち替え)
- 養生(窓・玄関ドア・植栽などの保護)
- 下塗り(プライマー・シーラー)
- 中塗り・上塗り(仕上げ塗料を2回)
このうち、1階の塀・フェンス・物置・ウッドデッキなど高さが低い構造物の部分補修であれば、道具と時間さえ確保できれば対応できる方もいます。雨戸や鉄部の小面積の塗り直しも同様です。
一方、2階以上の外壁全体・シーリングの全面打ち替え・ひび割れや雨漏りを伴う下地補修——これらは別の話です。なぜ難しいのかは、次の節で具体的に説明します。
見落とされやすい3つのリスク
① 高所作業の危険性——転落は命に関わります
2階外壁に手が届くためには、最低でも5〜6メートルの高さでの作業が必要です。脚立だけで対応しようとすると、足場が不安定なまま塗装・養生・洗浄を繰り返すことになります。
プロの施工現場では仮設足場を組むのが標準です。足場は材料費だけで20〜30万円程度かかりますが、それでも設置するのは安全のためです。DIYで足場なしの高所作業を続けることは、費用節約以上のリスクを伴います。外壁塗装で最初に検討すべきは、この安全コストです。
② 下地処理の不足——「塗れた」と「持つ」は別物です
外壁塗装の耐久性を左右するのは塗料の種類よりも下地処理の精度です。チョーキング(手で触ると白い粉が付く状態)や旧塗膜が残ったまま新しい塗料を乗せると、数年以内に浮き・剥がれが起きやすくなります。
適切な下地処理には、高圧洗浄→ひび割れ補修→外壁素材に合ったシーラーの選定という判断が連なります。サイディング・モルタル・ALCでは使える下塗り材が異なり、選定を誤ると密着不良の原因になります。この判断は経験なしには難しく、ここが「塗れたけど2年で剥がれた」という失敗の多くの原因です。
外壁の塗料選びについては塗料の種類と耐用年数の比較もご参考ください。
③ 保証がつかない——後から業者に頼むと割高になることがあります
専門業者に依頼すれば、施工後3〜10年程度の施工保証が付くケースが一般的です。DIYには当然保証はありません。さらに、DIYで塗装した後に業者へ依頼し直す場合、旧塗膜の除去・下地やり直しが必要になることがあり、初めから業者に頼むよりコストが増えるケースがあります。
「DIYで安く済ませた」はずが、かえって高くついた——という事例は珍しくありません。保証の内容については外壁塗装の保証内容で詳しく解説しています。
DIY vs 専門業者——主な違いの比較
| 項目 | DIY | 専門業者 |
|---|---|---|
| 費用の目安 | 材料費・道具費(数万〜十数万円) | 材料費+人件費+足場費(数十万〜百数十万円が目安) |
| 施工精度 | 経験・技術次第。ムラや剥がれが起きやすい | 熟練職人による均一な仕上がりが期待できる |
| 使える塗料 | 市販品に限られる | プロ仕様の塗料を使える |
| 施工保証 | なし | 3〜10年程度の保証が付くケースが多い |
| 高所作業の安全性 | 足場なしは転落リスクあり | 仮設足場を設置して施工 |
| 所要時間 | 数日〜数週間(休日のみなら1〜2ヶ月超える場合も) | 業者に一任できる(概ね1〜2週間) |
| 下地診断 | 自己判断 | 専門家が劣化状況を診断 |
費用だけを見るとDIYが安く見えます。ただし、足場を設置する場合その費用は同様にかかり、仕上がりの耐久性を含めたトータルで比較すると、専門業者との差は縮まることが多いです。費用の詳しい内訳は外壁塗装の費用相場でご確認いただけます。
DIYを試みる前に確認すべきこと
部分補修など限られた範囲でDIYを行う場合でも、以下の点を事前に確認しておくと失敗を減らせます。
- 外壁の素材(サイディング・モルタル・ALCなど)と既存塗料の種類
- ひび割れ・雨漏りの有無(下地補修が必要かの判断)
- 必要な道具(ローラー・刷毛・高圧洗浄機・マスキングテープ・養生シートなど)
- 施工に適した天候・気温(雨天・結露時・気温5℃以下の施工は避けることが一般的)
- 近隣への塗料飛散防止対策
塗装時期の選び方については外壁塗装の最適な時期もご参照ください。
専門業者への依頼を検討すべき場面
以下に当てはまる場合は、DIYよりも専門業者への依頼を検討するのが安全・確実です。
- 2階以上の外壁全体を塗り替えたい
- シーリングの全面打ち替えが必要な劣化が出ている
- ひび割れ・腐食・雨漏りなど下地の補修が必要な状態
- 外壁材の交換が伴うリフォームを検討している
- 施工後の保証を必要としている
外壁は雨風・紫外線から住宅全体を守る重要な部位です。「とりあえず塗った」状態では防水性能が十分に発揮されないこともあります。複数の業者から見積もりを取って比較することで、費用感と信頼性を同時に確認できます。相見積もりの取り方で手順を解説していますので、参考にしてみてください。
信頼できる業者の選び方については外壁塗装業者の選び方もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 外壁塗装をDIYすること自体は法律上問題ありませんか?
自分が所有する住宅を自身でDIYすること自体に法律上の制限はありません。ただし、賃貸物件の外壁を無断で塗装することは契約違反になる可能性があります。また、近隣への塗料の飛散や高所作業中の安全管理は自己責任となりますので、その点はご留意ください。
Q. DIYで塗装した後、後から業者に依頼することはできますか?
対応してもらえるケースはありますが、DIYで使用した塗料が既存の外壁素材に適していない場合や、すでに剥がれが発生している場合は、旧塗膜の除去・下地の補修から始める必要があります。その分の工程が増えるため、初めから業者に依頼するよりも費用が高くなることがあります。業者へ依頼する際は「DIYで塗装した」ことを事前に伝えることが大切です。
Q. 外壁塗装DIYで特に注意すべきことは何ですか?
高所作業の安全確保と、下地処理の丁寧さが特に重要です。塗料のグレードよりも「塗る前の準備」が仕上がりの耐久性に影響するとされています。高圧洗浄・ひび割れ補修・外壁素材に合った下塗り材の選定を丁寧に行うことが基本です。2階以上の高所作業が伴う場合は、安全面の観点から専門業者への依頼を検討することをおすすめします。
Q. DIY塗装と専門業者、費用の差はどのくらいですか?
DIYは材料費・道具費のみで数万〜十数万円が目安です。専門業者は足場費・人件費・材料費を合わせて数十万〜百数十万円が目安となります。ただし、足場が必要な高所作業をDIYで行う場合は足場費が同様に発生し、仕上がりの耐久性・保証の有無を含めたトータルコストで比較することをおすすめします。詳しい相場は費用相場のページでご確認ください。