「10年後は売電でお得が続く」と思っていませんか。FITの10年間の買取期間が終わると、売電単価は一気に半額以下になります。卒FITを迎えた多くのご家庭が、同じ驚きを経験されています。でも、ここからが太陽光発電の「第二幕」です。何を選ぶかで、この先10〜15年の電気代が大きく変わります。
卒FITとは何か
FIT(固定価格買取制度)は、住宅用10kW未満の太陽光発電を対象に、余剰電力を一定単価で10年間買い取ることを国が保証した仕組みです。この10年間の買取期間が終了することを「卒FIT」と呼びます。
2009年に制度がスタートし、2019年からは順次、卒FITを迎えるご家庭が増えています。2026年現在も毎年数十万件規模で卒FITの時期が訪れており、「自分もそろそろ?」という方は多いはずです。
FIT期間中は国が保証した固定単価(2019年度認定の場合は24円/kWhなど)で売電できました。しかし期間が終わると、その保証はなくなります。次にどうするかを自分で判断しなければなりません。
卒FIT後は売電単価がどう変わるか
結論からお伝えします。卒FIT後に電力会社へ売電を続ける場合、買取単価は7〜9円/kWh程度が目安です。FIT期間中の16〜24円と比べると、半分以下になります。
電力会社ごとの単価は年度や地域によって変わりますが、大手電力会社では概ね以下の水準が続いています(参考目安・変動あり)。
| 電力会社 | 買取単価(目安) |
|---|---|
| 東京電力 | 8〜9円/kWh程度 |
| 関西電力 | 8円/kWh程度 |
| 中部電力 | 7〜8円/kWh程度 |
一方で、ご家庭が電力会社から電気を買う際の単価(買電単価)は、2026年現在で25〜35円/kWh程度が一般的です。この「売電7〜9円 vs 買電25〜35円」の差が、卒FIT後の戦略を考えるうえで最も重要な数字です。
「売るより使った方がトク」——この原則が、卒FIT後の判断の出発点になります。
卒FIT後の選択肢を比較する
| 選択肢 | 売電単価の目安 | 初期費用 | 向いている方 |
|---|---|---|---|
| 大手電力会社に売電継続 | 7〜9円/kWh | なし | 手間をかけたくない方 |
| 新電力・アグリゲーターへ乗り換え | 8〜15円/kWh(変動あり) | なし(手続き必要) | 少しでも高く売りたい方 |
| 蓄電池を追加して自家消費を増やす | (売電せず自家消費) | 70〜150万円程度 | 電気代の削減・停電対策を重視する方 |
| 手続きなし(余剰は自然消費) | 0円 | なし | 手続き不要を最優先する方 |
選択肢① 大手電力会社に売電を続ける
最も手間がかからない選択肢です。電力会社から通知が届いた後、売電継続の手続きをするだけです。ただし単価は7〜9円/kWh程度と低く、FIT期間中と同じ感覚で売電収入を期待するのは難しい状況です。
「とりあえず継続して、様子を見てから蓄電池を検討する」という段階的な方法も選べます。
選択肢② 新電力・アグリゲーターへ乗り換える
電力会社以外の事業者(新電力やアグリゲーター)への売電を選ぶ方法です。市場連動型の単価や独自レートで、大手電力会社より高く買い取ってもらえるケースもあります。ただし市況によって単価が変動するため、契約条件を事前によく確認することが大切です。
乗り換え手続き自体は、電力会社への申請で対応でき、多くの場合1〜2ヶ月程度で切り替えが完了します。
選択肢③ 蓄電池を追加して自家消費を最大化する
売電単価(7〜9円)より買電単価(25〜35円)の方が大幅に高い現状では、余剰電力を売るよりも自家消費に回す方が経済的に有利になるケースが多くなっています。
蓄電池を設置すると、昼間の余剰発電を蓄えて夜間や曇りの日に使えます。電力会社から買う電気の量が減るため、電気代の削減効果が期待できます。費用の目安は70〜150万円程度ですが、国や自治体の補助金が使える場合もあります。卒FITのタイミングは、蓄電池導入を検討する合理的な節目のひとつです。
なお、蓄電池を追加する際は、既存のパワーコンディショナーとの相性や設置スペースも確認が必要です。複数の業者から見積もりを比較するのが安心です。
卒FITを機に「自家消費戦略」を見直す
蓄電池の導入が難しい場合でも、自家消費を増やす方法はあります。
- 洗濯機・食洗機・掃除ロボットなどを発電量が多い昼間に動かすように設定する
- 電気自動車(EV・PHEV)をお持ちの場合、昼間発電分を充電に回す
- 電力プランを現在の消費パターンに合ったものへ見直す
電力会社の料金プランは自由化以降に多様化しています。昼間在宅率が高い方と夜間消費が多い方では、最適なプランが異なります。現在のプランが合っているか、一度確認してみることをお勧めします。
HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を導入すると、発電量・蓄電池の残量・消費量をリアルタイムで管理し、自動で最適化することができます。卒FITのタイミングでシステム全体を整えると、太陽光発電の効率が改善しやすくなります。
卒FITの手続きの流れ
FIT期間が終了しても、自動的に何かが切り替わるわけではありません。手続きをしないと、余剰電力が売電されずそのまま消費(または捨てられる)状態になります。時期が近づいたら、早めに確認しておきましょう。
- 電力会社または施工業者からFIT期間終了の通知が届く(または自分で認定通知書を確認する)
- 売電を継続する場合:電力会社または新電力に申し込み手続きをする
- 蓄電池を追加する場合:複数の施工業者に相談・見積もりを取る
どの選択肢を選ぶにしても、「何もしない」でいると経済的な損失が生じる可能性があります。FIT認定を受けた年月から10年後が終了の目安です。設置時の書類や、電力会社からの通知で時期を確かめておきましょう。
卒FIT後の最適な選択は、ご家庭の電気の使い方・蓄電池の予算・補助金の有無など、条件によって変わります。複数の業者から無料で相見積もりを取って比較するのが、判断の近道です。
よくある質問
FITの買取期間はいつから10年が始まりますか?
FIT認定を受けた年月の翌月から、10年間の買取期間が始まります。正確な終了時期は、設置時の認定通知書をご確認いただくか、電力会社へ問い合わせると教えてもらえます。
卒FIT後に売電をやめた場合、パネルの保証はどうなりますか?
売電の有無は、メーカーの製品保証・出力保証とは直接関係ありません。FIT期間が終了した後でも、メーカーの保証期間内であれば保証は継続します。保証期間は製品・メーカーによって異なりますので、設置時の書類でご確認ください。
卒FITのタイミングで蓄電池を追加すると補助金はもらえますか?
蓄電池の補助金は、太陽光の卒FITとは直接連動しない場合がほとんどです。国の補助制度(DR・DER関連など)や自治体の補助金が利用できるかどうかは、お住まいの地域や申請時期によって変わります。着工前の申請が原則のため、検討段階で自治体の窓口や施工業者に確認しておくことをお勧めします。
新電力へ乗り換えた方が必ず高く売れますか?
新電力やアグリゲーターが電力会社より高い単価を提示するケースもありますが、市場価格に連動する商品は変動リスクがあります。「必ず高く売れる」とは言いきれないため、契約条件・期間・解約ルールを事前に確認されることをお勧めします。
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